NHKスペシャルを見て

今日の夜、NHKスペシャルで
高速ツアーバス・格安競争』という番組を
見ました。


「東京大阪3500円」「バス運転手の24時間安全管理は」
という副題が新聞のテレビ欄で付けられていたんですが。


番組を一通り見て


長距離を破格で移動出来る現場を支えている
バス会社、運転手の並々ならぬ苦労に脱帽しきりでした。


それと同時に
その格安ツアーを集客し催行して
年間三十数億の利益を上げただとか
投資をしなくても安全は保てる
みたいな発言を平然と言ってのける格安バスツアー専門の
旅行会社の社長に非常な憤りを覚えた


あの旅行会社のオッサンは、自分の会社の利益ばかりを
追求して、現場の苦労や、その傍らで実は安全が脅かされている
という事実を知ってか知らぬフリをしている悪人みたいな香具師


何も、その旅行会社だけに限った話ではないが
バスを貸し切る際に適用されるべき
公示価格を大いに下げてでも平然と仕事をさせるらしい…。


バス会社側としても、チャーター料が安いからと
仕事を断ってしまうと、以後の仕事が来なくなる可能性が
大いにある訳で…。


仕事が入って来なければ収入が途絶える。
それを防ぐ為に、たとえ安く買いたたかれてもバスを走らせる
ことになり、走っても走っても儲けが少ないので、運転手や
バスの車両に相当な負担がかかる。
それでも会社存続の為、無理矢理走り続けざるを得ない訳で…。


運が悪ければ、酷使される割には整備がまともに受けられない
バスが走行中、エンジンから火が噴いて火災になったり…。
疲労困憊の運転手が運転をミスって事故になるかも知れない。


実際、今年の2月に吹田で運転手の居眠りによる
死亡事故があったのは、全国ニュースにもなった。


今日の放送では、その事故の当事者側となった
バス会社の社長も出演していましたが…。


旅行会社から、無理難題な運行スケジュールでの仕事を頼まれ
それを断り切れずに、やむなく仕事を引き受けたとの事。
バス会社の社長にも
「とりあえず、今のこの時期を乗り越えさえすれば…」
という安易な考えがあったのかも知れない。
しかし…結果として運転手の居眠り運転が原因で
死傷事故を起こしてしまう事になった。


直接の事故原因はバス会社側にあると思われても仕方ないが
その引き金となった、無理難題な仕事を請け負わせた
旅行会社側にも非がある言っても過言ではない。


現場(バス会社)は
○事故を起こすまい
○運行に穴を開ける訳にはいくまい
と必死に頑張っておられる一方で


バスを貸し切って、ツアーを催行する旅行会社側は
私利私欲を肥やすためだけに、価格競争という名の下に
もはや不当的なダンピングを行ってまで価格を徹底的に
値下げしてバスを貸し切り、それをツアー料金に反映させて
壮絶な値下げ競争を行ってまで、客を奪い合っている現状。


日々、客を奪い合う状況下で、こんな旅行会社の連中は
安全を軽視しすぎているように思う。
実際にバスを走らせるのはバス会社であって
旅行会社としては、単にバスを貸し切って
如何に低価格で客を集める中で、収益をあげる事しか考えていない。


旅行会社側としては、単に客を集めてツアーを催行するだけで
実際の運行業務には関わらない訳であり…。
そんな中で、旅行会社側で安全に対する意識が高まる筈がない。


既出の旅行会社のオッサンなんか
お金をかけずに安全を保つ手段として
客からアンケートを採って、それをネットで公開したりして
その結果を、バス会社にも反映させるらしい。
(例えば、運転手の接客態度の善し悪しとか)


それで、バス会社や運転手の『安全に対する意識』を高める事に
活用させたいらしい。
さらに、評価の低いバス会社を請負から外すという狙いも
あるのであろう。


しかし!
精神論だけで安全が保てる訳がない!


運転手に精神論だけのプレッシャーをかけるだけで
本当に安全が向上するとでも思っているのか???


やはり、真の安全を守るためには
安全に対する投資を惜しまず
○整備を十分に行い
○運転手を補充するなどして
少しでも事故に対するリスクを減らすべきなのである。


整備にお金をかける事で、バスの安全性が上がるし
運転手を新しく雇う事で、各運転手の負担も軽減され
大きく安全性の向上に貢献する筈である。


バス会社が大きければ予備車を保有していたり
予備の運転手がいたりするでしょうが
小規模、零細バス会社にとっては、それも難しい話…。


それでも、会社存続のために
少々?いや、相当の無理をしてでもバスを走らせる会社と運転手。
それと、いかに少額・短期間で整備を済ますかと苦悩する整備士。


その方々達の日々絶えない苦労には感服しきりでした。


それに引き替え、現場の苦労にもロクに耳を貸さず
一方的に上から物を見る態度で、如何にバスを
1000円でも1円でも安くチャーターする事に執着する
旅行会社側。


まさに弱肉強食の世界が、そこには描かれているようでした。


そもそも、2001年の規制緩和から
今に至る歪みが出てきている訳で…。


我々、消費者側も
単に安いからと、まるでル●ペンのように
ひょいひょいと「うまい話」に乗るべきではない。


『安かろう、悪かろう』という言葉があるように
『安いだけ』という舞台裏には何か必ず悪いカラクリがある。


ただ、幾度となく言うように
実際にバスを走らせるバス会社・運転手が
「命を預かっている」という強い使命感のもと
事故を起こすまいと必死に頑張っていらっしゃるからこそ
「東京〜大阪3500円」などというツアーが成り立つのである。


その点、旅行会社側は自社の利益だけを追求して
客を集めて、目標に達しただとか、この日は客が少ないから
更に値段を下げて集客しようだとか…。
そんな事に日々、一喜一憂しているだけ。


実際の運行業務に関わらないからと
安全を軽視するような、こんな糞会社は徹底的に淘汰されて
そんな会社の経営者も徹底的に粛正されるべきである。


年商が三十数億だとか、送客数が30万を超えただとか
数字の規模で見れば大きいかも知れないが
バス会社との関係を見ていると
日雇いの手配師のようなものw


経営手腕は優れているかも知れないが
あの社長の、安全軽視と言っても過言ではない
物事の考え方に、間接的とはいえ人の命を預かる業界の
経営者としてはまさに不適合である。


消費者サイドも、値段だけに釣られるのではなく
今日、放送していた舞台裏の実情を少しでも知るべきである。
2月の吹田でのような何かが起こってからでは遅い。
楽しいハズの旅行を暗転させる訳にはいかないでしょうから…。


そんな訳で、自分は値段よりも質を重視した移動手段を選んでいますw